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2022.03.09

【導入事例】JR東日本ビルテック株式会社様【駅・駅ビルの天井裏点検】

駅や駅ビルという制約の多い天井裏空間を安全かつ効率よく点検データ化できるIBISの現場での活用に向けて

 

JR東日本ビルテック株式会社 様

 

 JR東日本管内の駅や駅ビルの建物と、その設備の維持管理を担うほか、一部の建物の建設やリニューアルといった事業も手掛けているのがJR東日本ビルテックです。同社ではIBISを用いた建物の天井内点検の検証に取り組み始めました。

 

終電から始発までの短い時間に効率よく点検するためのドローン

 

 私達が普段見ることのない建物の天井の中には、換気設備のダクトや電気・通信の配線、配管などが収められています。JR東日本ビルテックでは、法令とJR東日本が定めたルールにもとづいて、定期的にこれらの設備を点検しています。また、天井内設備に不具合が発生した場合には、直ちに不具合箇所を見つけ、修繕し、その後も継続的にその箇所の点検を行っています。

 

 こうした天井内の点検は、天井に設けられた点検口から人が覗き見るほか、人が進入できる空間の場合には、実際に人が入って設備の点検を行っています。ただし、人が天井内に入って点検する場合には、天井を踏み抜く、天井から落下するといった危険性があります。天井空間が狭くて人が入ることができない場合には、点検口から見える範囲でしか点検ができません。

 

 また、建物の改修や施設のリニューアルに伴って、天井内の設備も更新されるため、最新の状態を正確に把握することが難しいという課題もあります。特に駅は建物としての歴史を重ねてきているものも多く、その天井内の設備には数多くの更新が重ねられています。こうした天井内設備を把握するためのデータ化も課題のひとつとなっています。

 

 さらに、鉄道施設ならではの制約もあります。駅のコンコースの天井内の設備そのものは、一般的なビルと大きく変わりません。しかし、点検は列車が運行されていない夜間に限られ、終電から始発までの数時間という、とても短い時間に作業を行う必要があります。

 

天井空間を飛行するIBIS。狭い空間もあれば、天井までの高さがあることで、人が進入できないような場所もあります。 

 

 

 そこでJR東日本ビルテックでは、この天井内の点検でIBISの実証実験を始めました。天井の点検口からIBISを進入させ、天井内の様子をカメラで撮影。その映像から異常個所の把握に取り組んでいます。

 

「もちろんドローンができるのは天井空間の撮影までですが、設備の異常に対処するために改めて人が入るとしても、その回数を減らすことにつながり、結果として事故のリスクを抑えることができます」という志村氏。また、IBISによる点検は作業者の安全性向上だけではありません。「カメラによる映像の撮影だけでなく、そこから点群データを作ることで、最新の状態の図面がないような場合でも図面化できる点もメリット」(頭川氏)だといいます。

 

IBISが撮影した天井空間の様子。天井の吊り金具や換気ダクト、配管、配線が複雑に入り組んでいます。

 

 

天井内設備の点検フローの中にドローンを組み込んでいきたい

 

 JR東日本ビルテックでは、新しい技術の開発を担う技術部のスタッフ4人がIBISを操縦できるほか、実際に天井内設備の点検を行っているビル事業本部の6人がIBISの講習会を受講。ふだんはJR東日本ビルテックが運営する駅などの施設を再現した研修所で、月に2回程度、操縦訓練を行っているそうです。また、シミュレーターも導入しており、ドローンを操縦する感覚を養う、という点において、少しでも長く訓練時間を確保するようにしています。

 

 ただし、こうしたIBISの操縦訓練を行っていても、天井空間でドローンを飛行させる場合、狭くて設備が入り組んでいることもあって、どうしても墜落は付きまといます。また、操縦訓練の中でも墜落させてしまうことは少なくありません。一般的なドローンの場合、こうした墜落のたびに、修理の時間や費用がかかってしまいます。

 

 しかし、「IBISであれば壊れてもLiberawareさんに送ればすぐに新しいものが送り返されてくるので、安心して飛ばすことができる」と頭川氏。こうしたIBISのサービス体制について志村氏も「新しい課題が出てきた際にも、Liberawareさんに相談して、一緒になってその対応を考えてくれるというサポート体制は、とても心強く感じている」といいます。

 

駅ビル内の天井内をIBISで点検する様子。IBISを点検ハッチから天井内に進入させ、パイロットがモニターの映像を見ながら操縦します。

  

 

 JR東日本ビルテックでは、今後も駅や駅ビルの天井空間の点検にIBISを取り入れることで、狭所用ドローンによる点検技術を開発し、そのノウハウを蓄積していくとしています。その中でIBISに期待することについて、やはり大型のドローンと同じように、暗くて狭い天井空間でも、ドローン自身が自機位置を把握しながら安定して飛行してくれることだといいます。「しかし、そうなるとドローンによる狭所点検への参入ハードルが下がります。そのときに、いち早く取り組んだ私たちが狭所用ドローンのノウハウを蓄積しておくことで、それが強みになると思っている」(志村氏)。

 

 現在、天井空間の点検に関しては、建築物に対する法令や、JRグループとしてのルールがあり、こうした従来の点検方法の中ではドローンのメリットが活かしきれない部分もあるといいます。「しかし、ドローンを使うことで設備の状態をもとに悪い箇所だけをメンテナンスするようにすれば、長期的に作業時間やコストを抑えることができます。これからは私たちがもっと業務の中でドローンを活用して、業務フローそのものを変えていきたい」(志村氏)といいます。

 

 

JR東日本ビルテック株式会社 技術本部 技術部 技術開発グループ グループリーダー 課長 志村尚貴氏

 

 

 

 

JR東日本ビルテック株式会社 技術本部 技術部 技術開発グループ 主任 頭川美穂氏

 

 

 

 

JR東日本ビルテック株式会社 技術本部 技術部 技術開発グループ 志村尚貴グループリーダー/課長(左)と頭川美穂主任(右)