株式会社桐井製作所様

IBISを活用し天井点検の可能性拡大

大地震への備えに欠かせない“耐震天井”の草分けであり、内装用鋼製下地材の最大手として知られる株式会社桐井製作所。 昨年(2021年)、社内でドローン・プロジェクトを立ち上げ、既存事業への導入や新たな事業化に向けた模索が始まっている。 Liberaware社の小型ドローン「IBIS」を今後どのように活用していくのか、詳しくお話をうかがった。

株式会社桐井製作所 向かって左から営業本部 後藤氏/東京支店 高橋氏/開発部 武井氏/営業本部 塩入部長

Liberawareと組んでドローン・プロジェクトを始めたきっかけは何だったのでしょうか。

「近年、ドローンテクノロジーは建築業界にも入ってきております。弊社としてもドローンには興味をもっておりました。そんな折、弊社の社長(桐井 隆 氏)がLiberaware社の『IBIS』を知り、実際にドローンを見せていただき、まずはやってみようということでプロジェクトがスタートしました」

現在のところ、どういった形でドローンを導入されていますか?

「現状としては『天井を見てほしい』という依頼に対して、試しに飛ばしてみるということが多く、まだ手探りの状態です。プロジェクト自体が昨年夏にスタートしたばかりですから、まずは色々な角度から検証しようということですね。そのためには、私たちがドローンについてもっと勉強しなければなりませんし、操縦技術もより向上させていく必要があると思っています。これまで試したのは、ホールなど大きい空間の天井面です。ホールの天井は複雑な形状をしていることが多く、地震によるクラックなどがないかどうかをドローンで確認しました。撮影した映像をどう活用するかは模索段階ですが、少なくとも下から人間が見るより、はっきり見ることができるのは確かです。また、天井の折り返している部分は下からは見えません。そういったところをドローンで見ることができたのは、非常に良かった点だと思います」

天井裏の点検では、ドローンにはどういった作業が期待されるのでしょうか。

「活躍できる場面は色々あると思っています。例えば、弊社が提供している吊り天井は、ボルトや野縁受け、野縁といった部材が、ハンガー、クリップといった接合金具により繋がっています。しかし、人が天井裏に入れる音楽ホールのような大空間の天井以外、基本的に天井裏には入れません。通常は点検口からその周辺だけを点検するのですが、それを点検口からは見えない奥のエリアまでドローンを飛ばして調査が出来るということを期待しています。また、キャットウォークがある大空間の天井でも、アクセスの出来る主要部分以外は見えませんので、そこにもドローンを飛ばす価値があると思います」

耐震天井には厳格な安全基準があるそうですが、ドローンは役立ちますか?

「弊社が加入しているJACCA(日本耐震天井施工協同組合)では天井の耐震診断を行っています。JACCAが定める耐震診断基準というのは、ドローンの調査だけではクリアできません。ドローンでは実際に触ってみる、揺らしてみるといった触診ができないからです。そのため、そうしたJACCAの耐震診断への活用と合わせて別の需要、活用法を探っていきたいと思っています。2022年6月からはJACCA天井耐震診断のオプションとしてドローンでの調査が紹介されます。ドローンによる動画撮影や点群データが付加価値を生むような新しい事業を、費用対効果を見ながら模索するということですね。実は私たちとしては、実際の点検などに役立てるだけではなく、その先の『正確な図面化』を目指したいと考えています。天井裏の場合、建築当初の図面と実際の現場がまったく違っていることが多く、実際に見てみないとわからないということが多いのです。天井を耐震化したくても、図面がないと設計者は耐震改修方法の検討が出来ません。そこでドローンを飛ばして図面化ができると、きちんとした計画を立てることが可能となります。現在もレーザースキャナを使って図面化することは可能ですが、どうしても死角ができます。そこをドローンで補って、きちんと図面化ができると良いと思っています。正確な図面化に関しては、ドローンの技術がまだ求める水準に達していないと考えていますが、いずれは到達すると思っていますので、私たちはそこを見据え、パイロットの操縦技術を含めて、先行して関わっていきたいと考えています。また、図面化の手前に動画や点群データだけでも事業になる要素があるのではないか、ということも考えており、どこにどんな需要があるのか、費用対効果はどうか、そうしたことをあらゆる視点から検証しているところです」

ホール天井調査の様子:足場が必要な高い天井面も近くで見ることが出来ます 別日に行っている地下ピット内部調査の様子:人が入るのに手間を要する空間も問題なく調査できます

自社でパイロットを育成されているそうですが、どのようにされているのでしょうか。

「現在3名のパイロットが練習に取り組んでいます。このプロジェクトを始めるにあたり、社内でパイロットを募集しました。最初は真っすぐ上に飛ぶこともできず、『こんなに難しいのか』という感想を持っていました。しかし、ある程度慣れてくると、頭で考えなくても手が勝手に動くようになってきたようです。もちろん普段の業務もあるので、きちんとスケジュールを確保しないと練習時間は取れません。Liberaware社主催の検定試験前には、合格を目指して毎日1時間ほど必ず練習をしていました。また、JACCAには全国に1000社以上の組合員や特別会員、診断士会員、賛助会員がいて、その下には耐震天井施工や天井耐震診断のライセンスを持つ4700名ほどの技術者がいます。そうした教育事業の中に、新たにドローンのライセンスを組み込んでもいいのかもしれません。実際にそういう検討もしたのですが、まずは我々がビジネスにできないと広がっていきませんよね。ビジネスとして有効だということになれば、北海道から沖縄までいるJACCAの技術者に拡大していくことも可能だと思います。やはり成功事例を作らないと、なかなか普及しませんから。」

IBISへの要望などはありますか?

「天井裏などでドローンがひっくり返ってしまって、戻ってこられないというケースが考えられます。恥ずかしい話ですが、我々も壁の中に落として戻せなくなったことがありました。プロペラの威力を上げることで元に戻る機構は技術的に可能なようですが、IBISは機体が軽く、バッテリーが小型なのも特徴のひとつなので、そことの兼ね合いで難しいかもしれません。ドローンの今後の進化については非常に楽しみですし、とても期待をしています。IBISのレンタル事業もまだスタートして1年ほどの様ですから、今後いろいろなアイデアも出てくるのかなと期待しています」

今後、Liberawareに期待することがあれば教えてください。

「弊社は内装関係ですから、Liberaware社のドローンが屋内に特化している点をとても評価しています。屋外用ドローンは様々なメーカーが作っていますが、屋内用は非常に少ないですから。屋内に特化し、できることを徹底的に追求しようという姿勢は、とても良いと思います。また、屋内でドローンを使う分野はほとんど事業化されていないため、弊社としても非常に可能性があると感じています。事業化のための最初のハードルを超えることで、どんどん広がっていく分野なのではないでしょうか。そういう意味では、Liberaware社のサービスを利用している会員同士で、活発に情報交換できるとありがたいですね。他社がドローンをどう使っているのか、どこに困っているのかといった情報を共有できる場があると嬉しいです。他業種での活用法が事業のヒントになるでしょうし、会員同士で思わぬイノベーションが生まれるかもしれません。」

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